以前は,iPhone 4Sの寿命から,iPhone 5sの寿命を推測していましたが,今度は,iPad miniの寿命から,iPhone 5sの寿命を推測しています.
『絶好調!「Y!mobile」「UQ mobile」のiPhone 5sとは』(3/15)
これらの記事では,iPhone 5sは今後2年間使える端末ではないとしています.しかし,このライターは,Apple.comや家電量販店のAppleコーナーで,いまだにiPad mini 2が売られていること,そして,iPhone 5sとiPad mini 2は同じSoCが使われていることを知らないのでしょうか?こんなことは,少し調べれば,すぐに分かることなのですが,いまだに,この持論を崩さないの は,何か信念があるのでしょうか?
iOSのアップデート対象になるかどうかは,使われているSoCによって決まります.これは,Windowsなどでも,似たようなものでしょう.
iPhone 4SやiPad miniがiOS10へのアップデートが見送られたのは,使われているSoCがApple A5であるためです.
一方,iPhone 5sとiPad mini 2に使われているSoCはApple A7です.
少し,細かい話になりますが,Apple A5には,ARMv7というアーキテクチャが使われています.一方,Apple A7にはARMv8というアーキテクチャが使われています.
iOS10では,ARMv7アーキテクチャを使ったApple A5がサポート対象外になりました.
では,2年以内に,iPhone 5sやiPad mini 2に使われているApple A7が新しいOSのサポート対象外になるかというと,それは非常に可能性が低いと考えられます.
その理由として,第一に,Apple A5とA7の間に,Apple A6というSoCがある点です.このApple A6はiPhone 5やiPhone 5cに搭載されています.Apple A6はApple A5と同様の,ARMv7アーキテクチャが使われていますから,新しいOSへのアップデート対象外となるのは,発売された順番を考えても,こちらが先でしょう.つまり,この記事を書いたライターは,Apple A6を搭載したiPhone 5の存在を何故か無視しているのです.
第二 に,Apple A7にはARMv8というアーキテクチャが使われている点です.ARMv8アーキテクチャは最新のiPhone 7に搭載されている,Apple A10でも使われているそうです.100%の確信はないのですが,調べた限り,Apple A10はARMv8アーキテクチャのようです.
OSのサポートを考えると,アーキテクチャは少ない方が良いですから,Apple A6(ARMv7アーキテクチャ)を搭載したiPhone 5やiPhone 5cが,新しいOSのアップグレード対象外になる可能性はあっても,iPhone 7と同じアーキテクチャ(ARMv8アーキテクチャ)のSoCを搭載したiPhone 5sやiPad mini 2が,すぐにOSのアップグレード対象外になる可能性は考えにくいです.
第三に,Apple A7を搭載したiPad mini 2が,現在も公式に発売されており,それが,2年間のApple Careの対象となっている点です.2年間のApple Careの対象となっている端末を,2年以内にOSのアップグレード対象外とすることは,企業倫理的に考えにくいです.
-----2017/04/04追記
また,Apple A7は,iPad AirやiPad mini 3にも搭載されています.iPad Airの販売終了が2016年3月,iPad mini 3の販売終了が2015年9月ですが,これらの整備済み品(iPad mini 2も含まれています)が,今でもApple.comで販売されています.これらの端末も,2年間のApple Careの対象となっていますので,そのような端末を,2年以内にOSのアップグレード対象外とすることは,企業倫理的に考えにくいです.
iPhone 5sをOSのアップグレード対象外とするということは,Apple A7をアップグレード対象外とすることと同義です.そうなると,iPhone 5sだけでなく,iPad mini 2,iPad mini 3,iPad Airもアップグレード対象外となるため,その影響は大きなものになります.
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順番からして,まず,iPad mini 2が販売終了し,続いて,iPhone 5とiPhone 5cがOSのアップグレード対象外となり,そして,最後に,iPhone 5s,iPad mini 2,iPad mini 3,iPad AirがOSのアップグレード対象外となるのではないかと思います.つまり,iPad mini 2の販売が続く限り,iPhone 5sの寿命は考えなくて良いということです.
-----2017/03/22追記
iPad mini 2がAppleのウェブサイトから削除され,Yカメラ等の量販店のサイトでは販売終了となりました.一方,Y!mobileとUQ mobileがiPhone SEの取り扱いを始めました(両者とも3/25発売開始です).つまり,今から2年後ぐらいに,iPhone 5sとiPad mini 2がiOSのアップグレード対象外となると考えて良いのではないでしょうか.
ただ,Y!mobileでは,当分の間,iPhone 5sとiPhone SEは併売されるようですので,iPhone 5sとiPad mini 2の寿命は,もう少し先(iOSのリリース時期を考えると2019年9月頃?)かもしれません.
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ITmedia mobileでは,新しいスマホについての記事を見かけますが,こういうコラムや頓珍漢な記事を見ていると,ITmedia mobileのライターは,技術的なことには疎いのではないかと考えてしまします.
20年近く,この手の情報誌・情報サイトを見ていますが,前の記事と同様,最近のIT系ライターの質はこの程度か,と感じます.
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