Raspberry Pi + Box + WebDAV + Samba = パーソナルクラウド （前置き編）

　私は，以前から，複数のオンラインストレージを利用してきました（サービスが終了したものも複数あります）．しかし，これらを利用するためには，たいていの場合，クライアントに専用ソフトをインストールする必要があります．所有しているクライアント全てにソフトをインストールするのは，あまり賢い方法ではないなぁ，と感じていました．
　また，自宅内の複数のクライアントに，各々ソフトをインストールして，オンラインストレージと各個に同期するのは，無駄があると感じていました
　そこで，自宅内でも外出先でも，もっと気軽にファイルにアクセスできる，パーソナルクラウドを作ってみることにしました．もっとも，作ると言っても，既存のものを組み合わせるだけですけど．


　まず，利用するオンラインストレージサービスはBox（box.com）です．これは，以前，50GBの容量を無料で取得したものの，あまり使っていませんでしたので，50GBが丸々使えます．
　Dropboxが無料で8GB×2アカウント，SkyDriveが無料で25GBまで使えるので，それで，何とかなっていたというのがBoxを使ってこなかった一因です．ただ，複数のオンラインストレージに分散するのは，何かと面倒ですし，特に，Dropboxの容量が心許なくなってきたので，これを何とかする必要がありました．

　次に，Boxを利用するPCとしてRaspberry Pi B+を用います．当初は初代Raspberry Pi B 512MBモデルを用いる予定でしたが，設定やテストをしているうちに，動作が不安定になってきたため，予備機の予定だった，ラズパイ B+に変更しました．
　どちらにしても，Raspberry Pi 2やRaspberry Pi 3が登場した今となっては，Linux PCとしては非力ですが，1A以下の電流で駆動するので，省エネですし，何より，今まで購入してきたスマホに付属していたACアダプタ（5V1Aのものがほとんど）が流用できるのが良いです．
　非力とは言え，少しオーバークロックすれば，極小容量（50GB程度）のファイルサーバとしては十分に使えます．また，USBポートが4個もあるため，USBメモリ等の増設も容易です．

　続いて，Raspberry Pi B+（Raspbian）上でBoxを利用するために，WebDAVでマウントします．Boxの利点は色々ありますが，WebDAVが使えるというのも，その一つだと思います．また，自宅内で共有するためには，Sambaを使います．
　自宅内ではSamba，外出先ではWebDAVを使うことで，専用のクライアントソフトを一切使わずに，ファイル共有が実現できます．　
　専用のクライアントソフトを使わないため，ファイルは，Raspberry Piのローカルストレージと，クラウド上のオンラインストレージだけにあることになるため，ファイルが分散しないという利点もあります．
　自宅内では，Raspberry Piのローカルストレージを使うため，クライアントからはネットワークドライブを設定するだけで高速で利用できますし，外出先ではWebDAVでオンラインストレージを使うため，WebDAVに対応さえしていれば，様々なクライアントで利用できます．もちろん，専用アプリには，専用だけのことはあり，良さがありますから，状況に応じて使い分けます．

　これを，実現する方法を概説すると，まず，8GBのmicroSDHCに，Raspbian Liteを普通にインストール＆セットアップします．SWAPに1GBを割り当てるため4GBでは不足しますし，Liteエディションなので16GBは不要です．
　次に，データストレージ用の64GBのUSBメモリ（以前にzfsの実験で使ったものを流用）を取り付け，ext4でフォーマットした後，適当なディレクトリ（今回はルートディレクトリ直下にshareというディレクトリを作成しました）にマウントします．問題がなければ，/etc/fstabに必要事項を追加して，Raspbian起動時にマウントするようにします．
　続いて，davfs2をインストールし，WebDAVでBoxをUSBメモリ内のディレクトリ（今回は/share/box-comとしました）にマウントします．こちらも問題がなければ，/etc/fstabに必要事項を追加して，Raspbian起動時にマウントするようにします．
　最後に，sanbaをインストールして，USBメモリ内のディレクトリ（/share/box-com）を共有します．
　
　Raspbian Liteのインストール＆セットアップについては，ネット上に情報が豊富にありますから，難しくはないでしょう．自分が使いやすいように，幾つかのパッケージを追加したぐらいです．
　USBメモリのマウントと/etc/fstabへの記載も，ネット上に情報が豊富にありますので，これも，難しくはないでしょう．
　私が手こずったのは，WebDAVでBoxをUSBメモリ内のディレクトリにマウントする方法を/etc/fstabに記載するところでした．手動でのマウントや，ユーザログイン時のマウントは，すぐにできたのですが，Raspbian起動時にマウントするのが，なかなか上手くいきませんでした．
　最後のsanbaによる共有は，以前にも試したことがありますし，ネット上にも情報が豊富にありますから，特に難しいことはありません．
　
　手順等の詳細は次の記事に書きたいと思います．