先日,Xubuntu上で,BtrfsでRAID10なストレージを作成しました.これを,Sanbaを使ってファイルサーバとして試験運用してきましたが,いくつか不満点を感じましたので,改善することにしました.主な不満点は,WebUIです.
そもそも,Xubuntu(Ubuntu系)はデスクトップ用途またはサーバ用途を想定しています.私が利用したものは,デスクトップ用途のものですが,どちらにしろ,NASで良く使われているWebUIは提供されていませんから,NAS用OSと比べると,使い勝手は落ちます.UbuntuベースでWebUIを持ったサーバ用OSとしては,Zentyalというものがあります.サーバ用OSですから,当然ファイルサーバの機能も提供されているのですが,NAS用OSと比べると,ファイルサーバ機能は非力です.
色々と調べてみると,後付けでできる,WebUIがいくつかありましたが,今回は,OSごと変更することにしました.NAS用OSとして有名なものとしては,FreeBSDベースのFreeNASやNAS4Freeがありますが,どちらも,FreeBSDベースですから,Linuxに慣れ親しんだ私にとっては,所々,使いにくいところがありますし,そもそも,BtrfsはLinux用のファイルシステムなので,FreeBSDベースのOSでは,BtrfsによるRAID10なストレージは作成できません.
もちろん,ZFSを利用するという手もありますが,ZFS(ZFS on Linux)を使ったファイルサーバが,既に稼働しているので,今更,ZFSを使っても面白味がありません(笑).
そこで,以前から気になっていた,OpenMediaVaultというDebianベースのNAS用OSを使ってみることにしました.Ubuntuは元々,Debianから派生したものですから,使い勝手は,ほとんど変わらないでしょう.それに,OpenMediaVaultは,FreeBSDベースのFreeNASからフォークしたものですから,NAS用OSとしての使い勝手は,FreeNASに劣らないだろうと考えました.
NAS用OSは,基本的にWebUIで操作するので,ターミナルエミュレータ等から直接操作することは,ほとんどないですが,いざという時に,ターミナルエミュレータで直接操作する必要が出た場合,ほとんど使ったことがないFreeBSDベースのFreeNASよりは,使い慣れているDebian(Linux系)ベースのOpenMediaVaultの方が安心です.
ただ,OSとしての出来はOpenMediaVaultより,FreeNASの方が上の様です.これは,開発期間と開発能力(マンパワー)の差が大きく影響していると思います.とはいえ,個人で使う分には,大差はないと思います.
使用したOpenMediaVaultのバージョンは,最新の安定版のVer. 2.2ではなく,ベータ版のVer. 3.0です.なぜ安定版のVer. 2.2ではなく,ベータ版のVer. 3.0を使ったのかというと,3.0がDebian 8.0(jessie,2015年リリース)ベースなのに対して,2.2がDebian 7.0(wheezy,2013年リリース)ベースなためです.
Debian 9.0(stretch,2017年リリース予定)のリリースが間近な現状で,今更,Debian 7.0ベースはないだろうということで,Debian 8.0ベースのVer. 3.0にしました.
本当は,Debian 9.0ベースのVer. 4.0が開発されているので,そちらを使いたかったのですが,Debian 9.0(Debian 9.1?)がリリースされるまでVer. 4.0はリリースしないと,公式にアナウンスされていたので,Ver. 3.0を使うことにしました.
OpenMediaVaultの開発ペースを見ていると,もしかすると,Ver. 3.0はベータ版のままで,次の安定版はVer. 4.0かもしれません.
さて,OpenMediaVaultのインストールですが,インストーラが,近年主流のGUIではなく,昔ながらのTUIでした.DebianのインストーラがTUIですから,DebianベースのOpenMediaVaultのインストーラがTUIなのも当然なのでしょう.
ただ,昔(20年くらい前でしょうか)ほど難しくはなかったこと,設定する項目が少なかったことから,簡単にインストールできました.
少し前のFreeNASのインストーラもTUIでしたが(最近は使っていないので分かりません),この辺りの改良(GUIインストーラの導入)を行わないと,普及は難しいのではないかと思います.
今回使ったOpenMediaVaultでは,RAIDとしては,mdadmかZFSでの構築を想定していて,BtrfsでのRAIDは想定されていません.そこで,ターミナルエミュレータから,コマンドでBtrfsなRAID10ストレージを作成し,WebUIでマウントしました.このような柔軟性は,市販のNASにはない利点ですね.
ちなみに,BtrfsでのRAIDに対応したNAS用OSとして,CentOSベースのRockstorというOSがあります.ただ,こちらは,CentOS(Red Hat)ベースということで,細かいところがDebianベースのOpenMediaVaultと異なります.
私は,昔はRed Hat系OSも使っていましたが,最近は,DebianベースのOS(UbuntuとかRaspbianとか)ばかり使っているので,コマンドや設定に戸惑う可能性があったため,OpenMediaVaultを使うことにしました.
使い慣れたDebianベースOSなら,多少,情報が不足していても,なんとかできる気がしたというのもあります.
それから,OpenMediaVault(NAS用OS)を選んだ理由の一つとして,DLNA対応が容易であることがあります.
公式と準公式のプラグイン(パッケージ)が,色々と提供されており,ZFSやDLNAも,WebUIでプラグインを導入するだけで,利用可能になります.
プラグインの中には,Webブラウザから使えるターミナルエミュレータがあるので,ターミナルエミュレータソフトを用意する必要がないのも,良いです.
もちろん,パッケージのアップデート(apt-get update && upgrade)やS.M.A.R.Tの確認もWebUIから可能です.
OSをOpenMediaVaultに変更して,2週間程がたちます.インストール直後は,ターミナルエミュレータで,細かい設定をしましたが,最近は,週に数回程度,WebUIを確認する程度で,非常に安定しています.今回組んだNASは,小型・静音・省電力を重視して製作したので,実は,メインのファイルサーバよりも,使いやすかったりします(笑).場所の都合で,寝室に設置していますが,全く気になりませんね.
-----2017/05/28追記
RAID10で構成しているため,内蔵の3.5型HDDよりも遅いポータブルHDDでも,十分,快適に使用できています. ざっくりとした値ですが,有線LAN(1000BASE-T)経由の書き込みで100MB/s程度,無線LAN(802.11ac, 867Mbps)経由の書き込みで60MB/s程度です.
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